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十牛図、6.騎牛帰家、日常生活への復帰

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若者は牛の上に乗って楽しそうです。
綱はもう必要ありません。
あるがままの自分とあるべき自分がぴたりと重なった状態になったのです。
自然と融合し、無我の境地に到達しているように見えます。

仏教は、世界を変えようという宗教ではありません。
ただ静かに認識をして、輪廻の恐怖を回避する。そのために、わたし、というものはいない、という境地を、最終的な目標としているのです。

牛と共に若者が里へ帰る、という意味は、喜怒哀楽を感じながら、その喜怒哀楽に心が動揺することがないということでしょう。
対象との距離がとれていれば、何が起ころうとも、動揺することはありません。
その上で里に戻り、里の風景を眺める。美しいものがあれば、その美しさを愛でる。悲しいことがあれば、胸を痛める。そうやって、人生を静かに楽しむ。
これこそが、牛を求めた若者が到達した、達観した境地なのです。

by usa-kunisachii | 2014-09-22 17:25  

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